2017年04月

結城紬狂い   その3

いつかは憧れの結城紬が欲しい。とっておきの一着を手に入れて、一生大切に着よう。お金を貯めて、できるだけ良い品を、この目で確かめ、実店舗で時間をかけて慎重に選ぼうと考えていました。

それなのに、あっけなくネットショップで買ってしまいました。仕立て上り、未使用、しつけ糸付きの単衣結城紬一万円がなんと半額の五千円だったので安易に飛びついた!(笑)

もちろん証紙は無し。ナンチャッテ結城紬の可能性覚悟の上での購入でしたが、シンプルな地色がとても好きだったのです。サイズも若干裄は短いけど身丈が大丈夫でしたので。



手元に届いてさっそく触ってみました。ん?先日、展示会で触らせてもらった結城と少し感触が違う。なんかこっちのほうが目が粗くて、ゴツゴツしてるような気がしました。飛び柄の白地のなかに赤い椿文が織られていて可愛いくて、どうやら80亀甲のようです。

まぁ、お値段がお値段ですからね。いくら古いお品でも本結城をこの価格では売らないだろうと思いつつ、何カ所か織り糸がループ状に飛び出ていて、いかにも手織りの素朴さが漂ってるんだよね。ひょっとして手織りのB反?だったらいいなと、希望的観測を持っています。

そして、もう少し目が詰まってる感じのものを買ってみようと、こちらの袷を。未使用、しつけ糸付き、サイズも合いましたので。お値段は少し高い。

55歳に梅模様は可愛いすぎると思ったけど、狂ってましたから(笑)。着なかったら、若い女子にもらってもらえばいいかなと。



うん、こちらも詳しい人に見てもらわないと何とも言えないですが、◯◯結城とか、産地が違う結城紬とかもあるみたいですね。そんな気も致しますが、こちらも証紙が無いのでわかりません。



とにかくすっかり結城紬にのぼせ上がっていた私。その頃、会った友達にもどれだけ結城紬が素晴らしいのかを熱く語っておりました。友達は「そんな、一歩間違えると寝間着に見える着物かなんわ、私やっぱりはんなりした京友禅みたいなんがいいわ」と言ってましたが。

私があまりにも「本結城が欲しい。本場結城紬が欲しいねん。でも高いねん」と繰り返すので、彼女がこう言いました。
「ほんなら実際に結城に足を運んでみて地元で探してみたら? 手が届かない高級品も、地元に行けば当たり前にあるので、案外お安く買えるかもよ」

彼女言わく。彼女の故郷が組み紐の産地らしい。全国では希少品として高額で流通している組み紐が、地元では身近すぎて、そこらへんの家にゴロゴロ転がっていると。そんな高く売られてるなんて地元民は誰も思っていないと。
「結城紬もそうなんじゃ?」
「いやまさか。でも、案外そうなのかな?もっとカジュアルな感覚かも?」

結城紬に対して憧れが強すぎるのも、関西からは産地が遠くてなかなか行けないからかもしれません。茨城県、栃木県って、大阪から遠く感じるもん。感覚的には北海道や沖縄より遠い地だもんね。

「そうか、一度産地を訪ねてみたいな。できれば地元で、この目で確かめて買えたらいいな〜」

でもでも、今の私の生活では遠出の旅は絶対に難しい。我慢我慢。寂しいね〜。(つづく)

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結城紬狂い   その2

着物好きにはたまらない有吉佐和子の「真砂屋お峰」(まなごやおみね)にも結城紬が出てきます。一見、地味な木綿着物に見せて、実は精緻な手仕事の本結城をさらりと着ているシーンとか。かっこよすぎるではないか!

他の有吉佐和子の作品を読み進めているうちに、わかったことがあるんです。それは小説のヒロインが人生の重要な局面に立ったときに必ず着ているのが結城紬だということ。たとえば人生を賭ける大事な人に会うときとか、大きな交渉事に出向くときとか、決断を迫られ気合いを入れるときとか、あるいは人生の最後にとか。そうかそうか、実は結城紬こそ人生の勝負着物だったんだね!勝負着物といえばゴージャスな紋付き着物だと思い込んでた私は目からウロコが落ちる思いでした。

結城紬、すごーーーーーい!!!
結城紬、かっこいーーーい!!!

思えば今まで会ってきた、たんなる地味な着物を着ていたお金持ちの奥様方は実は結城紬をお召しになってたんだね。見る目が全然なかったから、ちっともわからなかったわ。

しかし現時点でもまだ、結城紬がどんな布なのか、触ったことがなくてわからなかった私。一見、木綿に見えるって、どういうこと? 手触りはゴツゴツしてるのかな、それとも柔らかいのかな。小説だけでは皆目見当がつかないわ〜。

すっかり結城紬に恋い焦がれてしまって、寝ても覚めても結城紬のことが気になって仕方がない。インターネットで結城紬に関する記事を読みまくり、産地、メーカー、証紙の見方などのウンチクだけはマスター。知れば知るほど、結城紬をこの目で見て、できたら触って感触を確かめたくてたまらない!

そんな時、通りかかった呉服屋さんがたまたま催事をやっていたので冷やかしで覗いてみたんです。成人式需要の振袖をメインとしたきらびやかな展示会場の片隅になんと見つけましたわ!結城紬!



もう感激!!!振袖と関係ない客で店側から放置されてたことこれ幸いと、目一杯凝視してきました。しっかり端っこも触らせてもらいました。この感触を覚えておこうと、何度も何度も脳内に叩き込んで。

そっと値札を見ると、ウン十万円。意外に安い。そうかそうか、証紙の色は高機(機械織り)だもんね。それにしても初めて触った感触は、固いということ。まだ糊がついてるから固いんだろうね。以前の私なら、きっと木綿だと思い込んだに違いない。結城三代と言って、親から子、子から孫に受け継がれていくうちに、どんどんしなやかに柔らかくなっていくんだろうね。すごーい!

欲しいな〜。
いつかは欲しいな〜。

そうこうしているある日、ネットショップのサイトを見ていると、仕立て上り、未使用の結城紬が半額になっているのを見つけたのです。(つづく)

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結城紬狂い   その1

先日の着付け教室は体調が今ひとつだったので、教室で半衿付けだけしてきました。大型連休のため来週はお休みなので、しばらく着物を着る機会もありません。着てナンボの着物ブロガーなのに、物足りなくてスミマセン。しばらく妄想ブログが続きます。

ところで私、昨年ぐらいまでは実は染め派。染めの着物(やわらか物)しか興味がなかったんです。大島、十日町などの紬も持ってはいたけど、目が行くのは染めの着物ばかり。自分には絶対似合わないけど、志ま亀の小紋とかええな〜♡と思ってました。

ところが今年になって、まるで雷に打たれたかの如く、織り派に転向。しかも結城紬のみ!

結城紬じゃないと着物に非ず!!!

結城紬さえあれば他はもう何もいらない!!!

私が持ってる着物全部あげるから、結城紬くれる人いないかな!!!

と本気で考えるぐらい、結城紬に恋い焦がれ、狂い、熱を上げてしまいました。

なぜ急激に結城紬ラバーになってしまったかというと、有吉佐和子の小説の影響なんです。もともと若い頃から「芝桜」「木瓜の花」が好きだったので、今年になってから有吉佐和子の小説を制覇してみようといろいろ読みはじめたんですね。

和歌山県出身の有吉佐和子は「紀ノ川」「有田川」「日高川」といった和歌山の川にちなんだ三部作を発表しているのですが、実はあとひとつ、川にちなんだ大河小説があったんです。それが「鬼怒川」。



有吉佐和子「鬼怒川」の舞台は茨城県結城市、栃木県小山市の鬼怒川沿いの地域。ヒロインは、戦中戦後の激動時代に翻弄されながら、後に人間国宝になる地機織りの織り手さんです。

本場結城紬のことを本当に良く理解できる作品。糸つむぎ〜絣くくり〜地機織りと、真綿から結城紬が織り上がるまでの全工程を、微に入り細に渡り描写。まるで自分がその場にいて職人さんのお仕事を目の当たりにしているような。厳しい仕事の苦労が伝わってきて息苦しいほどでした。

地機の結城紬ってこんなに手間がかかるんだ・・・衝撃でした。そりゃ高価で当たりまえ!と思いましたもん、このケチな私が(笑)

実はこの作品のテーマは他のところにあるのですが、私自身は今まで知らなかった結城紬ワールドにすっかり魅了され、圧倒され、骨抜きになってしまったのです。(つづく)

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物語性のある帯   八ツ橋

先週末から風邪をひいていて、心身ともに弱っておりました。ちょっとしたことでクヨクヨ悩むのも免疫力が落ちてるからかな?

元気を出せ!!!自分を叱咤激励するためにネットで塩瀬のリサイクル名古屋帯を買っちゃった。(マイルールとして着物は増やしたくないけど、帯はOKなのです)

八つ橋という文様だそうです。普通は橋と杜若(カキツバタ)が、セットになってるはずなのに、なぜお花がないのだろう? まさか作者が描き忘れた?

おそらく杜若柄のお着物に合うよう、この帯を誂えはったんでしょうね。



好きな歌舞伎の演目「籠釣瓶花街酔醒(かごつるべさとのえいざめ)のファーストシーンで、花魁の八ツ橋が、まさに八つ橋の帯で登場します。

絢爛豪華ですね。もちろん橋と杜若の絵柄がセットになってます。



私が買った帯。八つ橋というより、まるで妖怪の一反木綿にも見えます。ゲゲゲの鬼太郎か?(笑)



でもすっきりしていて物語性もあり、とても気に入ってます。花は描かれてないけど、杜若の季節に締めたら粋かもしれません。

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良い顧客でありたいと願うジレンマ

少しでも着物に親しむ時間を持つために、実家の近くの着付け教室に通っています。呉服屋さんが運営している教室なので、そちらで買うことはないであろう私が通ってもいいものか、一瞬悩みました。でも無料ではなく、有料教室なので行くことにしました。

今のところ、商品を無理やり売りつけられるようなこともなく、担当の方もあっさりしたとてもいいひと。いやな思いもなく、楽しくお稽古させてもらってます。すでにバレてるかもしれません、私が買う気ないこと(笑)

でも私も人の子。高価な着物や帯を新調することは出来ないけれど、せめてお直しや手入れ、仕立てぐらいは、そのお店を通してお願いしようと考えていました。

先日、お店で悉皆相談のイベントがあったので、さっそく幾ばくかの着物、帯、反物を持参して行ってきました。着物の裄出し3点、羽織の仕立て2点、松葉仕立てから名古屋仕立てに変えてほしい帯1点です。

もちろん、お店を通さずに悉皆屋さんに直接お願いしたほうがお安くできることは百も承知。しかしながら教室でお世話になってるお店の売り上げに微力でも貢献したいし、担当の人の顔も立てたいと考えていたわけです。

が、悉皆さんに見積もりしてもらった結果は、

着物の裄出し 高っ!!!
羽織の仕立て 高っ!!!

なんと私が想定していた金額の2〜3倍の衝撃価格でした。そんなに上乗せするか〜。

裄出しも羽織の仕立ても、私の予算から大幅オーバーで、あえなく撃沈と相成ったわけですが。

でもね、同席してくれている担当さんの顔を立てて、ひとつぐらいお願いしようと思ったんですね。帯の仕立て替えの見積もりは、裄出しや仕立てに較べたら金額が小さかったし。で、私もホッとしながら、お代金を支払ってきました。これでいい、これもお付き合いのうちだから・・・と自分に言い聞かせながら。

ところが帰宅したあと、ずーっと、心がモヤモヤするんですよね。納得したはずなのに、なんかモヤ〜。

・仕立て替えをお願いして、自動的に洗い張りがプラスされてるけど、あの帯にそこまでお金を掛けるのは本意じゃない・・・。

・本命は着物の裄出し、羽織の仕立てであって、あの帯の仕立て替えはまったく急いでない・・・。

・それに帯の仕立て替えなら、ひょっとしたら頑張れば自分で出来るのではなかろうか・・・。

という三つの考えが同時に浮かび、いよいよモヤモヤが絶頂に達し、お値段にも全然納得してないことに改めて気がついてしまいました。ふと伝票を見るとクーリングオフという単語が目に飛び込んできたので、

思わず勝手に手が動いて、担当さんにキャンセルの電話していました。担当さんは「えーっ」と残念そうな声を上げてましたが、正直に理由を言いました。我ながら勇気ある行動で、モヤモヤが消失してスッキリ。と同時に自己嫌悪。とても落ち込みました。

良い顧客でありたいと願う中途半端なジレンマ(つまり見栄ね笑)のために、かえってお店に迷惑を掛けてしまいました。出来るだけお金をかけずに、呉服屋さんと良好なお付き合いをしたいと願うスケベ心が恥ずかしい。

今もまだ折り合いがつかず引きづっております。ベストセラーの「嫌われる勇気」でも読んでみようかしらん。

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