大阪の夜の街・北新地のホステスさんがバッグにしのばせているという「北新地ホステス心得帖〜おもてなしの条件〜」を読みました。
心得帖の構成は、
1、美しさの度合いと個性
2、お客様との対応
3、飲み方と飲ませ方
4、座持ちのテクニック
5、同僚からの評判
6、お客様との私的交際
7、貴女自身の私生活
8、経済生活の設計
9、プロとしての資格
10、べからず33カ条
この10項目のなかに、微に入り細にわたりホステスとしての心得が書かれていて、グッと迫りくるものがありました。私が特に印象に残った文章を抜き書きします。
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◯美人には2種類ある。黙っていると美人というタイプと、喋り出すと美人というタイプである。黙っていると美人というタイプは、3回で飽きる。
◯手が綺麗であること。手入れが悪いと、現実の生活が見えてしまう。顔や胸は整形できるが、手はできず、年令がハッキリ出る所でもある。
◯お客様の名前は一度で覚えること。一度覚えたら、3年間は忘れぬこと。
覚える工夫としては、
a、繰り返し名前を言いながら話すこと。
b、さりげなく名刺を頂くこと。
c、覚えるまで名刺をしまわないこと。
d、役職名を間違えぬこと。
◯お客様の服装・持ち物について、正確な値踏みができること。そして、それを少々オーバーに評価して見せること。但し、知ったかぶりはいけない。
◯酔った女は面白いが、可愛気はない。女は惚れた男の前(二人だけの)以外は酔わぬが花。
◯貴女自身のことは、訊かれるまで言うな。特に愚痴話は厳禁。
◯言いたくないことは言わなくてよい。しかし、ウソはだめ。
◯どんな些細なことでも、約束は必ず守ること。だらしのないことの代名詞が「水商売の女のような」であることは恥である。
◯お客様のお金だからといって、ムダなお金を平気で使わせないこと。気前のいいところを見せたがるお客様ほど、その使ったお金が幾らだったのか覚えておられるものである。使ったお金が多いほど、別れ話はもつれるものだ。気のない相手には、お金を使わせない配慮が必要。
◯男の最低の姿を見て、すべてを判断するな。男は、その人が思っているほど立派ではないが、ホステスが考えているよりは高級である。
◯商売は派手でも、生活は地味であること。
◯自宅はいつ来客があっても、恥ずかしくないようにしてあること。精神のだらしなさは、部屋の片付けに現れる。
◯食事はなるべく店屋物をとらず、手料理で食事すること。
◯今の収入は、一時的な特殊条件による、異常なものであることを、認識すること。それは主として"若さ"に基因することを忘れないこと。
◯スポンサーの援助を前提とした生活は、思ったより短く、そして必ず破綻がくる。今の彼氏は、貴女が50才になっても、優しく面倒を見てくれるわけではない。もしそうなら、呆れるほど惚れているか、バカであるか、10万人に1人ぐらいの立派な男である。
◯貴女が40才になった時、どうしているか、想像してみること。そして、その時のための準備を、今から心掛けておくこと。誰の力も借りずに、することも大事。多分、誰も助けてくれないだろうから。
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くうううう〜、泣けてきませんか?北新地という魑魅魍魎の世界で生き抜いてきた先輩ホステスから後輩に贈る知恵と真理の数々。親心を感じます。
この心得帖、ビジネスの世界でも応用できるということで欲しがるお客さんが多いらしいです。ホステスさんじゃなくても、普通の若い女性だって役に立つと思いました。
心得帖の全文は以下のオフィシャルサイトのPDFからダウンロードできます。
北新地社交料飲協会のサイト
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