結城紬狂い   その4

いつか本場結城紬をこの目で見て、触ってみたい。できれば産地に行って、結城紬が生まれた歴史や風土を肌で感じてみたい・・・そう願いながら行き方などをネットで調べていました。東京からだと日帰りで行けるのですね。でも親の体調を考えると今は難しい。

そんなときに見つけました。なんと大阪で第9回本場結城紬展「糸 -ito-」(本場結城紬振興事業実行委員会)が開催されることを!

これはなんとしてでも行きたい!万障繰り合わせて、万難を排して、絶対に行く!ちょうど父の用事で大阪市内に出かけることになったので、日を合わせて行ってまいりました。

もう入り口で看板を見ただけで、ドキドキです。



受付で「招待状がなくても拝見できますか?」と訊いたら「どうぞどうぞ」ととても親切に対応してくださいました。受付横には本場結城紬の白生地が展示。これ、地機(手織り)だよね。すでに興奮して倒れそう(笑)



会場の手前では、真綿かけ〜手つむぎ〜絣くぐり〜たたき染め〜地機織りの、本場結城紬の5工程が実演されていたので、涙がでるぐらい嬉しかったです。

うわー、うわー!チヨがいる!有吉佐和子「鬼怒川」のヒロイン、チヨだ!!!本当に全身の力を込めて織っているのですね。



結城紬にかんする資料もたくさんあったので、頂いてきました。本当にありがたい。会場に来ていたお客さんのほとんどが結城紬をはじめ素敵なお着物姿でした。呉服屋さんとご一緒の方も。そんな優雅な雰囲気のなかで、介護から抜け出してきたような全身カジュアルでやって来た私。

場違いで恥ずかしかった。出来るだけ存在を消して、目立たないように、お邪魔にならないように、そ〜っとお着物を拝見して帰ろうと思っていたのですが。



なぜか一番偉い会長さんみたいなダンディな方が、何度も何度も私に話しかけてくださり、本場結城紬のことを懇切丁寧に説明してくださったので、嬉しいやら戸惑うやら(笑)

招待状も無くみすぼらしい私になぜだろうと思いましたが、きっと私の全身から、本場結城紬を知りたい!結城紬に憧れてます!という尋常ではない熱意が溢れていたのでしょうね。完全に目がハート型になってたからね。

奥の畳スペースではたくさんのお着物と反物が展示されてました。すごいよね〜。すべてが本場結城紬の純正品。ここでは(ホンモノかしら?)なんて心配は一切無用。夢みたい。

しかしあまり時間もないので、お着物を拝見したら失礼しようと思っていたら「ぜひお召しになってみませんか」と声を掛けていただく。「いえいえ、見るだけで充分です」と遠慮してたら、「そんなことおっしゃらずにどうぞどうぞ」とアレヨアレヨと鏡の前に。

洋服の上から、藍色の本場結城紬を着せ付けていただきましたが、夢みたい〜夢みたい〜、興奮して卒倒しそうでした。はああ〜柔らかくて軽くて、雲の上を歩いているような着心地です。

写真のなかに本場結城紬を着てる人が5人も写ってるのもすごい。



そして100山亀甲の茶系の反物を当てさせていただきました。個人的には黒が欲しいのですが、似合うのは茶系かもしれません。

あまりにヨロコビすぎて、二重太鼓ならぬ二重アゴになっている(笑)



「せっかくだからたくさんお召しになってね」とご親切に言ってもらったのですが、これ以上着ると興奮しすぎて死んでしまうので(笑)

奥に貴重な160山亀甲の反物も展示されてましたが、畏れ多くて端っこを触ることもはばかられました。はあああ〜なんて眼福、濃密な世界観が素晴らしい。1時間しか滞在できませんでしたが、あと5時間ぐらい居たかったです。



アンケートに答えたお土産として、貴重な本場結城紬のコースターを頂いたのも嬉しかったです。宝物です。大事にします。そして購入するときの指針にします。

すごく楽しかった本場結城紬展。ますます結城紬に対する憧れが強くなりました。結城紬、だ〜い好き!

私はできるだけ袷の着物は増やしたくないのですが、あと一枚だけ、本結城だけは欲しいです。今回、本場結城紬展にうかがって、お値段の相場もわかりましたが、充分納得しています。とはいえ無い袖は振れないので、今後、リサイクル等で良い出会いがあることを祈っています。

良い出会いに巡りあえますよう、コツコツ誠実に生きていこうと誓った、三か月間にわたる結城紬狂いの締めくくりでございました。

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結城紬狂い   その3

いつかは憧れの結城紬が欲しい。とっておきの一着を手に入れて、一生大切に着よう。お金を貯めて、できるだけ良い品を、この目で確かめ、実店舗で時間をかけて慎重に選ぼうと考えていました。

それなのに、あっけなくネットショップで買ってしまいました。仕立て上り、未使用、しつけ糸付きの単衣結城紬一万円がなんと半額の五千円だったので安易に飛びついた!(笑)

もちろん証紙は無し。ナンチャッテ結城紬の可能性覚悟の上での購入でしたが、シンプルな地色がとても好きだったのです。サイズも若干裄は短いけど身丈が大丈夫でしたので。



手元に届いてさっそく触ってみました。ん?先日、展示会で触らせてもらった結城と少し感触が違う。なんかこっちのほうが目が粗くて、ゴツゴツしてるような気がしました。飛び柄の白地のなかに赤い椿文が織られていて可愛いくて、どうやら80亀甲のようです。

まぁ、お値段がお値段ですからね。いくら古いお品でも本結城をこの価格では売らないだろうと思いつつ、何カ所か織り糸がループ状に飛び出ていて、いかにも手織りの素朴さが漂ってるんだよね。ひょっとして手織りのB反?だったらいいなと、希望的観測を持っています。

そして、もう少し目が詰まってる感じのものを買ってみようと、こちらの袷を。未使用、しつけ糸付き、サイズも合いましたので。お値段は少し高い。

55歳に梅模様は可愛いすぎると思ったけど、狂ってましたから(笑)。着なかったら、若い女子にもらってもらえばいいかなと。



うん、こちらも詳しい人に見てもらわないと何とも言えないですが、◯◯結城とか、産地が違う結城紬とかもあるみたいですね。そんな気も致しますが、こちらも証紙が無いのでわかりません。



とにかくすっかり結城紬にのぼせ上がっていた私。その頃、会った友達にもどれだけ結城紬が素晴らしいのかを熱く語っておりました。友達は「そんな、一歩間違えると寝間着に見える着物かなんわ、私やっぱりはんなりした京友禅みたいなんがいいわ」と言ってましたが。

私があまりにも「本結城が欲しい。本場結城紬が欲しいねん。でも高いねん」と繰り返すので、彼女がこう言いました。
「ほんなら実際に結城に足を運んでみて地元で探してみたら? 手が届かない高級品も、地元に行けば当たり前にあるので、案外お安く買えるかもよ」

彼女言わく。彼女の故郷が組み紐の産地らしい。全国では希少品として高額で流通している組み紐が、地元では身近すぎて、そこらへんの家にゴロゴロ転がっていると。そんな高く売られてるなんて地元民は誰も思っていないと。
「結城紬もそうなんじゃ?」
「いやまさか。でも、案外そうなのかな?もっとカジュアルな感覚かも?」

結城紬に対して憧れが強すぎるのも、関西からは産地が遠くてなかなか行けないからかもしれません。茨城県、栃木県って、大阪から遠く感じるもん。感覚的には北海道や沖縄より遠い地だもんね。

「そうか、一度産地を訪ねてみたいな。できれば地元で、この目で確かめて買えたらいいな〜」

でもでも、今の私の生活では遠出の旅は絶対に難しい。我慢我慢。寂しいね〜。(つづく)

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結城紬狂い   その2

着物好きにはたまらない有吉佐和子の「真砂屋お峰」(まなごやおみね)にも結城紬が出てきます。一見、地味な木綿着物に見せて、実は精緻な手仕事の本結城をさらりと着ているシーンとか。かっこよすぎるではないか!

他の有吉佐和子の作品を読み進めているうちに、わかったことがあるんです。それは小説のヒロインが人生の重要な局面に立ったときに必ず着ているのが結城紬だということ。たとえば人生を賭ける大事な人に会うときとか、大きな交渉事に出向くときとか、決断を迫られ気合いを入れるときとか、あるいは人生の最後にとか。そうかそうか、実は結城紬こそ人生の勝負着物だったんだね!勝負着物といえばゴージャスな紋付き着物だと思い込んでた私は目からウロコが落ちる思いでした。

結城紬、すごーーーーーい!!!
結城紬、かっこいーーーい!!!

思えば今まで会ってきた、たんなる地味な着物を着ていたお金持ちの奥様方は実は結城紬をお召しになってたんだね。見る目が全然なかったから、ちっともわからなかったわ。

しかし現時点でもまだ、結城紬がどんな布なのか、触ったことがなくてわからなかった私。一見、木綿に見えるって、どういうこと? 手触りはゴツゴツしてるのかな、それとも柔らかいのかな。小説だけでは皆目見当がつかないわ〜。

すっかり結城紬に恋い焦がれてしまって、寝ても覚めても結城紬のことが気になって仕方がない。インターネットで結城紬に関する記事を読みまくり、産地、メーカー、証紙の見方などのウンチクだけはマスター。知れば知るほど、結城紬をこの目で見て、できたら触って感触を確かめたくてたまらない!

そんな時、通りかかった呉服屋さんがたまたま催事をやっていたので冷やかしで覗いてみたんです。成人式需要の振袖をメインとしたきらびやかな展示会場の片隅になんと見つけましたわ!結城紬!



もう感激!!!振袖と関係ない客で店側から放置されてたことこれ幸いと、目一杯凝視してきました。しっかり端っこも触らせてもらいました。この感触を覚えておこうと、何度も何度も脳内に叩き込んで。

そっと値札を見ると、ウン十万円。意外に安い。そうかそうか、証紙の色は高機(機械織り)だもんね。それにしても初めて触った感触は、固いということ。まだ糊がついてるから固いんだろうね。以前の私なら、きっと木綿だと思い込んだに違いない。結城三代と言って、親から子、子から孫に受け継がれていくうちに、どんどんしなやかに柔らかくなっていくんだろうね。すごーい!

欲しいな〜。
いつかは欲しいな〜。

そうこうしているある日、ネットショップのサイトを見ていると、仕立て上り、未使用の結城紬が半額になっているのを見つけたのです。(つづく)

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