40代で着物が好きになって、50代で本格的に沼にはまりました。浴衣からスタートして、はんなり友禅が好きと思ったり、江戸小紋に興味を持ったり、結城紬に夢中になったり、木綿着物に惹かれたり、上布ファンになったり、その時その時でマイブームの変遷がありました。そんな私が最後(たぶん最後だと思う)に行きついた着物が熨斗目です。

一念発起して還暦記念に熨斗目の着物を誂えたいと思いまして、佐藤チアキ先生に相談に乗っていただいております。個人作家さんに一から糸を染めてもらって自分のために着物を織っていただく「誂え」というのは、私自身初めての経験ですので知らなかったのですが、作品ができるまで何年も待つのはよくあることなんだそうです。ネットでポチッとしてすぐに手に入るお手軽さに慣れてしまった身としては、このような異次元の世界も存在することに驚いています。

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そして、違う出会いもありました。

実は6月に、チアキ先生ご案内の京都の問屋さんで開催された「型絵染の会」に行ったときのことです。雑誌にも掲載されている最新の型絵染めのお着物を拝見したあと、別の部屋に移動しました。そこに展示されていた一反の紬に、なんと私が一目惚れ。その場で動けなくなってしまいました。

まるで雷に打たれたような電撃ショック「どうぞ反物を身体に当ててみてくださいね」とおっしゃってくださってるにもかかわらず、あまりに好きすぎて「いえ、結構です」と、心とは裏腹に恥ずかしくて顔をそむけてしまいました(笑)

産地をお聞きすると、こげ茶と白の糸で織った伊那紬の段熨斗目ということで、問屋さんオリジナルの意匠のお品でした。そういえば上田紬のリョウマさんがYouTubeで「伊那紬を見つけたら買いです」とおすすめされてたなぁ、と思い出す。めちゃくちゃ好きなタイプの絣。
帰宅してからも三日三晩、伊那紬のことが頭から離れませんでした。

数日後、思い切ってチアキ先生に「あの伊那紬の段熨斗目の反物、もう売れてしまいましたよね?」とお訊きしました。やはり翌日すぐに売れてしまったそうで、(そりゃそうよね)と納得しました。

でもチアキ先生が「同じものを織ってもらえるかどうか織元さんに訊いてみましょう」と掛け合ってくださったのです。すると「糸の調達の都合で時間がかかるかもしれませんがやってみます」との解答が来ました。もちろん待ちます。色も展示で見たこげ茶とは変えて、常磐色、織部色に近いグリーンでお願いすることになりました。

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そして三か月後に完成。100パーセント希望どおりの段熨斗目を織っていただけました。幸せです。

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この緑、この白、この絣の柄付け、本当に好みです。もう私には残り時間がふんだんに無いので(60歳になり焦っている 笑)悠長に構えず、早めに仕立てに出す予定です。

引き続き、熨斗目の着物もチアキ先生にお願いしています。こちらはじっくり待ちます。

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