着物を着始めた頃は半衿を縫い付けるのは時間がかかるし、綺麗にできないし、やり方にも自信がなくて、大嫌いでした。半衿付けは私にとって着物を着る際の大きなハードルのひとつで、そこを何とか乗り越えたくて、プロの和裁士さんに半衿付けを習いに行きました。

この時、先生に教えていただいた格言「半衿をていねいに縫う悪い嫁」は、私の座右の銘になったといっても過言ではありません。恥ずかしながら当時の私、半衿一枚縫い付けるのに1時間半かけてたんです。半衿にアイロンかけて二つ折りして、まち針を打って、しつけをかけてから、ちまちまと本縫い。血だらけになりながら・・・(笑)。

忘れもしない上記の半衿教室に参加した時、たまたま私の前に座っておられた女性が和裁のお仕事をなさっている方だったのです。先生の親しいお友達ということでした。着物は仕立てても、半衿まで縫い付ける機会はあまり無いから勉強しに来たとおっしゃってました。

座学でひととおり半衿の縫い方を教えていただいたあと、実践がスタートしました。各人それぞれ持参した長襦袢に半衿を縫い付けていくのですが、さすがプロの向かいの女性はものの10分で縫い終わってました。あまりの速さに驚愕した私が、
「もう終わったんですか!!!」
と言うと、
「これでもゆっくり縫ったのよ」
とおっしゃってました。

私といえば30分ぐらい経ってもまだ縫い終わらず(それでも自分では速くなったと思っていた)縫い方もたどだどしかったのだと思います。あまりの遅さ、たどたどしさに驚愕した向かいの女性が、

「(和裁をしない)普通の人が裁縫するとこんなに大変になるんですか・・・。知らなかった、こんなに時間がかかるなんて。それは大変だわ」
とおっしゃるので
「これでも速く縫っております💦」
と答えました。

その女性が強い衝撃を受けてドン引きされている様子を見て、私もショックを受けました。(そうかー、半衿付けを好きになるためにはスピードアップせなあかんな)と思いました。

裁縫できない私ですが、何枚か半衿を縫い付けるうちに、手抜きのコツがわかってきました。要は他人様から見える衣紋の内側(赤い矢印)だけ細かく縫えば、あとはザクザクで大丈夫なのだと!

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衣紋の内側とて、立っている限り身長の高い自分はあまり他人様から覗き込まれることも無いので、そんなに神経質に細かく縫わなくても良いかなと。

そして決定的に半衿縫い付け時間が短縮したきっかけは、カジュアルな装いの時に手拭いを半衿に使うようになったからだと思います。なにせ手拭いなら緊張もしないし本当に縫いやすいです。縦4つに織って木綿糸でザクザク、縫い目も大きく10分ぐらいで仕上がります。

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そんな感じでだんだん半衿縫い付けに慣れてきたので、普通の半衿でも10分ぐらいで付けられるようになりました。もちろん白衿のフォーマルの時はもっと丁寧に付けると思いますが。

今では半衿縫い付け、大好きです。半衿縫うのが楽しく感じられるようになりました。ちなみに両面テープとか安全ピンとかは便利そうですが、逆に縫い付けちゃったほうが簡単なのでは⁈と思っています。同様に、袖の振りから長襦袢が飛び出してきそうな時も両面テープではなく、針と糸で縫いとめて処理します。不器用なくせに、どこか昔風に憧れているのかもしれません。

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