秋冬向けの羽織の仕立て直しをしたいと考えています。羽裏になるようなおもしろい色柄の長襦袢はないかしらんとヤフオクを見ていたら、好きなタイプを見つけたので落札してみました。男性用のアンティークの袷長襦袢です。
うーん、見れば見るほど好みです。ただ正絹ではなく人絹(レーヨン、スフ)らしい。人絹てばどうやって扱ったらいいのか、さっぱりわからん。なんか水に弱いそうです。洗濯はできるのだろうか。
届いてから、いったん全部解いてみました。実は私、着物を自分で解くのは初めてで、めちゃくちゃワクワクしました。まるで着物の構造を探検する旅に出ているような気分で、解くのってすごい楽しいと思った!
が、楽しかったのは最初だけ。恥ずかしながら、着物(これは長襦袢)を解くのがこんなに大変だとは思ってなかったので、20分ぐらいでスルスル解けると思い込んでたんだよね。しつけ糸をはずすぐらいの感覚で取り掛かっていた私は本当にバカだ。
袷仕立てで細かい縫い目できっちり仕立てられていた上に、アンティーク生地が破れないように引っ張らずにそろ〜っと慎重に作業したのと、それより何より私自身が和裁を知らないまるきり素人なので、全部解くのに2時間半もかかってしまいました。いやはや、切った縫い糸を最後にむしり取るだけでも骨が折れました。着物を解くのがこんなに重労働だったとは。和裁士さんや悉皆さんを尊敬します。
時間はかかったけど無事に解けました! トキハ縫い(解き八縫い、解き端縫い)とはよく言ったもので、本当に八枚の布になるんですね!全部繋げたら反物に戻るの、スゴイと思いました。
ところでこの長襦袢を解きながら(これが人絹なの?)と疑ってしまいました。手触りも見た目も、体温がじんわり伝わる感じも、私には「正絹」としか思えなかったのです。
ひょっとして正絹なんちゃうん? 別に人絹でもいいけど、正絹なら扱い方がわかるので嬉しいんだけど。こういう時は、端から糸を抜いて、燃やしてみるに限る。人絹か正絹か、さっそく台所の流し台で糸くずをライターで燃やしてみましたら。
ぼんっ!
な、なんと炎が出ずに小さく爆発。一瞬にして跡形も無く糸が消えてしまいました。焼失ではなく、消失なんて!こんな手品みたいな燃え方、初めてです。明らかに正絹の燃え方ではないし、ポリの燃え方とも違う。
はい、これが人絹特有の燃え方なんだそうです。火がつくと一瞬にして燃え尽きて跡形も無くなってしまうなんて、犯罪のトリックにもなりそう。なんだか江戸川乱歩のミステリーの世界だ。