数年前、呉服チェーン店が運営している近所の着付け教室に少しだけ通っていました。有料レッスンとはいえ、呉服屋さんがかかわっている教室なので、当然販売会がありましたが私は行かなかったのです。


ところがカリキュラムの一環として「コーディネートレッスン」を教室で行うという。わざわざ京都から問屋さんが来られて、たくさん着物を見せてくださるらしい。これはコーディネートレッスンを名目にした販売会だなとすぐにピンときたのですが、何となく興味をそそられたので参加してみたのです。


当日参加した生徒は5人ほど。教室の和室いっぱいに反物と帯が並べられていました。この中から好きな着物と帯を選んでくださいと言われて、私は格子柄の紬を選びました。選んだあとは「さぁ、鏡に向かって当てて見てみましょう」と、あれよあれよという間に反物を巻き付けられてしまいました。


「まあああ、素敵! よく似合ってるわよ、貴女」という担当者のひと声を合図に、なぜか店長も副店長も他の担当者もやってきて囲まれてしまいました。


「うわぁ、いいですね。この着物は背が高くないと着こなせないですよ」
「貴女にぴったりじゃないの。お目が高いですよ」
「おまけに今回だけ、すごくお勉強してくださるの。ね、問屋さん。いくらにしてくださいます?」
「参ったなぁ〜。この着物、普段は安くしないんだけど、あまりにもお客様さんにピッタリだから」
(電卓を叩いて見せながら)「これで」
「えええっ! このお値段? 信じられない。安すぎますよ」
「どれどれ。えっ! 何この安さ! これはお買い得ですよ」
「買っときましょう、買っときましょう、八掛は何色がいいかしら」


(ああ、これが噂の囲い込みというやつね。それにしても寄ってたかってすごい芝居がかってるなぁ〜)と冷静に観察していた私も、一瞬買ってもいいかなという気になりました。それほど気分良く持ち上げられるのです。


どうやって断ろうかなと考えていた時、担当の女性が、
「きっとご主人が惚れ直すわよ」
と言ったので、
「いえ、高い買い物ですので主人に相談しないと怒られますので」(←ウソ 独身です)と思わず見栄をはってしまいました(笑)


それでも担当者が全然ひるまないからビックリ!
「じゃあ、ご主人に内緒で買っちゃえば!一枚ぐらい着物が増えてもわからないわよ」
「そうよそうよ。ローンを組めば、月々の支払いもお小遣い程度だからご主人にバレないわ」
「貴女だって毎日主婦業頑張ってるんだから、気に入った着物の一枚ぐらい自由に買ってもいいと思いますよ」


強烈なセールストークに辟易して、もちろん購入しませんでした。はっきりと断りました。それにしても「ご主人に内緒で買っちゃえ」なんてよく言うよ。きっと他のお客さんにも同じように言うんだろうなぁ。


☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆


この出来事があってから、私がふと疑問に思ったこと。専業主婦の方が高価なお着物を買うとき、どこから費用を出すのだろう???


ご主人が買ってくれるのかな。それとも奥様自身の貯金から? あるいは奥様に投資などの不労所得や不動産収入があるとか? うーん、謎だわ。専業主婦になったことがない私にはミステリアスな領域です。ただ、お金持ちの家庭ならダンナさんに頼めば、バンバン着物を買ってくれるというのは違うような気がするんだよね。なぜならお金持ちほど資産管理がしっかりしてるから、そんな簡単にダンナさんが「いいよいいよ」と着物を買ってくれるとは思えないのです。


そんな謎を解明する(?)出来事がありました。好きなアーティストのライブに一緒に行くマダムが専業主婦なんです。音楽好きの彼女はしょっちゅういろんなアーティストのライブを東京まで聴きに行くんですね。毎回一流ホテルに一泊して。


まさか「その費用どうしてはるんですか?」なんて訊けないので謎だったわけですが、先日マダムとお茶を飲んでいた時、彼女のほうから話してくださいました。


ご主人から月々もらう家計費から支出を引いて、残ったお金をライブ費用としてプールなさっているそうです。残ったお金はマダムのお小遣いとして好きに使ってもいいらしいので、毎月頑張ってやりくりしてるとおっしゃってました。


なんだ、私と同じじゃないかと思いました。私も家計費を節約して、着物貯金してますもん。仮に月に1万残せば、年間12万ですからね。あなどるなかれですよ。


(もちろん、それぞれの家庭で事情は違うと思います)


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